何度事業を立ち上げても手ごたえを感じられなかったEさん。フランチャイズを利用した独立で、いよいよ成功を勝ち取りました。起業の失敗と成功、両方の秘訣を語ってもらいます。
なぜ起業にこだわったのですか?
私は小さな頃から、先駆者的な人に憧れを持っていました。そんな私が起業家に憧れるのは自然なことだったように思います。
社会に出て、とりあえず不動産会社に就職してみたのですが、“ゼロから事業を生み出してみたい”という気持ちが勝り、1年経たないうちに独立を決意しました。
起業分野の変遷を教えてください。
最初に手掛けたのは不動産仲介業です。これはクライアントに当てがあったので大成功。しかし、ゼロから生み出したとはいえない事業内容にモヤモヤしていました。
その気持ちを胸に始めた新しい事業は、高齢者向けの買物代行ネットサービスです。
高齢者向けのサービス事業に活路を見出したのですね。
思いついた時の私は“社会貢献もできるやり手の企業家だとウワサされるかも…”なんてワクワクしていましたが、振り返ってみると我ながら馬鹿だったなと思います。ちょっと考えれば分かることですが、頼れる人が身近に居ない高齢者は、そもそも買物の頻度が低いのです。
この事業に費やした資金は数千万、集まった会員は100人ちょっとという悲惨な結果に終わりました。
非常に残念な結果でしたね。しかし、その経験が独立に繋がったのですか?
そうなのです!買物代行サービス事業を畳むことが決まり、会員一人ひとりの家をお詫び訪問していた時です。どのお宅にお邪魔しても、サービスがなくなることについて問い詰められることはなく、「そんなことより、あれを取ってくれない?」なんてちょっとしたお願いごとが続きました。そこで私は気付いたんです。本当のニーズはこれだと。見せかけだけのシステム専攻サービスではなく、高齢者の生活で本当に求められているのはささくれのように小さなことなのだと。
一度事業に失敗し、本当に大事なことに気付いた時、起業家としての名声なんてどうでもよくなっていました。それ以上に、今度こそ本当に高齢者を支えたいと思ったんです。
ユーザーの本当のニーズに気付いた、と。
そんな私が始めたのは「5分100円の家事代行サービス」。
初の依頼者は、誰にも頼れず、孤独と不安を抱えていたお年寄りでした。涙を流し喜んでくれたその姿を見て、「私がやるべきは、この人たちが安心して暮らせる社会をつくることだ」と確信。そこからは、本当のニーズを意識した事業に乗り出しました。
具体的にはどのような事業を始めたのですか?
まず、これまで手掛けていたBtoBを廃止。生活支援サービスだけで成り立つモデルを確立するために試行錯誤した結果です。
スタッフは常駐ではなく登録制にし、スタッフの都合のいい時間だけ会員の家を周ってもらうスタイルです。急を要する問題にパパッと駆けつける若者向けの便利サービスを逆手に取りました。高齢者が求めているのは、“いつでもいいから解決してくれたら嬉しいな”と感じている小さな問題を、無理のない価格で受けられるサービスだったのです。
なるほど。それでは、今後の目標はありますか?
ようやく黒字化できましたが、これも通過点だと思っています。目標は、このサービスを全国で利用してもらえるように事業を大きくすることです。
Eさんの成功の秘訣は何だと思いますか?
事業は、名声やお金を得るゲームではありません。そのように捉えている人は、きっと私のように失敗するでしょう。何を成功と捉えるかは人によって違うでしょうが、個人的には真剣に向き合える課題を見つけて、解決する仕組みをつくることが事業成功の秘訣だと思います。
[ad]